一般社団法人  ことばの診療所

森本千絵さん「アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話」

好きな本、おススメの本ってなにがありますか?
と聞かれるといつも、
ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」について話しています。


内容も装丁もたまらなく好きで。今の在り方を決めたと言っても言い過ぎではないのですが、
読み終わった時の新鮮な気持ちで綴りたいので、もう一回読み直してまた後日書きます。

 

じゃあ、仕事の在り方について影響を受けた本ってなんだろう?と思ったら、
森本千絵さん「アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話」なんです。

今朝それをぱっと思い出して、「あ、今読まなきゃ」と感じたんです。
読み終わって、即ブログを書き始めました。ザ直感型。

この本に出合ったのは数年前。当時はデザイナーさんとお話しすることが多かったので、
「有名なアートディレクターってどんな人なんだろう?」
といろいろ検索して行った結果、森本さんの結婚式のブログに辿り着きました。

>>>「メイキングムービー」

このいっぱいの感謝と、表現力に溢れた人っていったい…?

そう思って買ったのがこの本との出会い。

一番好きなのがここ。


 なぜなら仕事は、最初にイメージが相手の中にあって、その中に答えがあることがほとんどだからです。

 だからこちらは相手のしゃべっていることを聞いていればいい。そしてその話の中で自分の何かにひっかかることがあれば、そこに少し絡んだり、スパイスを入れたりしていくと、相手のやりたいことがふわ~っと見えてきます。

 (中略)どんな依頼でも、その「ふわ~っ」を受け取ることからはじまります。こちらを空っぽにして相手の話の持つ雰囲気に寄り添っていくと、「ああ、わかる、わかる」という感覚になれるのです。もっと具体的に言えば、その「心地がわかる」ということかもしれません。まずは何か、「その人の心地がわかる」ところからはじめるのです。

(「アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話」p.40-41,43)


 

相手を理解しよう、共感しようなんて使い古された言い回しではなく、
「ふわ~っ」てキーワードがすごく心に残っていて。
そっか、その人がことばにし切れていない気持ちや願い、想いをつかむんだなってわかったんです。

なんか優しい響きなのも気に入っているポイント。

 

森本さんの場合はそれをMr.Childrenや松任谷由実さんのCDジャケットや広告、動画などで表現していて。

私の場合は、特にことばに特化したいなって。

いまでも「なんか…」と言いたいんだけどうまく言葉にできないって前向きな葛藤があるクライアントさんに対して、
こうですか?それともこうですか?と形にしてボールを投げるのがすっごく好きです。
で、投げられたボールを受け取るのも、これちがうなーってかわすのもその人次第。

これもまた「ふわ~っ」なんでしょう。

 

あとは、「見えない根っこ」の話が書かれています。
広告は「枝」で、「根っこ」が内側にある想いの部分だと。


最初は、自分の直感を信じるようにするし、もとの土から綺麗にし、その商品に想いを入れる。そしてある程度、みんなが動き出してからは、本当にそれで良かったのかを「一人の客」として見る。時に、編集やデザインをガラッと変えることもあるし、これまでやってきたことをバサバサ切っていったりすることもあります。だから、周囲はみんなびっくりする。だけどそれは目に見える部分の変更ですから直していっても大丈夫。そこを変えても根っこは変わりません。
(「アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話」p.131)


これを読んでから、根っこをしっかり作ること。
芯とか軸とか表現されることもある自分の中の一本が一番大事なんだなって腹落ちしました。

 

たとえば私は今「ことばのフラワーシャワー」セッションをしていますが、

自分の心を大切にする人が増えてほしい。

そのためにはなんて自分自身に言えるようになったら、
もっと自分を好きになれるかな。

周りを気にして自分の選択肢狭めてしまうことがなくなるかな。

「おめでとう」じゃないかな。
なんかすごく明るい感じがする。

じゃあ最大限「おめでとう」を表現できて、私もすごく楽しいのはなんだろう?

て考えた結果、辿り着いたのが結婚式のフラワーシャワーなだけで、

今はたくさんの人が自分や大切な人にフラワーシャワーを掛け合えたら
ものすごく煌めいた社会になるだろうなと思っていますが、
10年後にはまた違うツールになっているのかもしれません。

でもそれって何を使うか、が変わっただけで言いたいメッセージは変わっていないんです。

 

少し前まで「好きな人を好きといいたい」というブログをやっていましたが、
これもとっかかりはレズビアンである私が
自分がそうであることを隠したり、恋心を殺さなきゃいけないのってすごく寂しいな
というすごくプライベートなものだったものの、
もう少し視野を広げると自分の感じていること、思ったこと、気づいたことを
周りの目を気にして殺すのがすごくイヤで。

例えば311の時や何か哀しいこと、ショッキングな事件が起こった時に、
大勢の方が亡くなったから、という哀しみ由来とは別の重さがありました。
こう考えねばならない。明るいことをしてはならない、怒らねばならないという窮屈さ。
感情の在り方が狭まってしまう状況って私には白黒の世界に見えて。
どう感じるかは、なにを考えるかは自由でいたいと思っています。
だからこそ、恋心に縛られずいろんなテーマで書いていましたし、
それを見て「なんだこんな人もいるんだ、自分ももっとのびのび生きていていいんだ。」
と読んでくれた方の視野が広がれば社会が彩られると信じていました。(し、今も信じています。)
その思いを端的に表現したのが「好きな人を好きといいたい」なので
彼女がいようがいまいが、ずっとあのタイトルのままです。
これもベースは「心を大切にする」こと。

 

「アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話」やっぱりすごく素敵な本です。
文体も軽やかで。
仕事術ではなく森本さんの頭の中がのぞける感じが好き。
これからもきっとターニングポイントで思い出すでしょう。

 

そうそう、読むも読まないもあなたの自由。

例えば、「どんな本かな?」とリンクをクリックして概要を見に行ったのなら、
好奇心を大事にして、クリックした私、おめでとう。
とあなた自身に言ってあげてほしいですし、

もし購入したのなら、
「読んでみよう」ってちょっと前向きな気持ちになれた私、おめでとう。

あるいは読まない判断をしたら、
今の状況を客観的に見て、読まないって判断できた私、おめでとう。

なんですよ。

 

一般社団法人ことばの診療所 代表 村田

村田のプロフィール


一般社団法人ことばの診療所 代表
ことばを編むことが大好きな30歳レズビアン当事者。
中学生の時にはじめて同性を好きになり、それ以降恋愛対象は女性。ただし勤務してきた一般企業2社ではカミングアウトできず、異性愛者として「偽装」していた。 思い切って社外でカミングアウトした時に「初めて出会った」と言われた経験から、1人のレズビアンが何を考えているか/どう日常を過ごしているのか伝えようと決意。ブログ「好きな人を好きといいたい」を300日連続投稿達成したことで、当事者がカミングアウトし現状をわかり易く伝える大切さを痛感する。
2社目退職後、当法人を設立。安定した社会人生活から離れることに不安もあったが、自分がやりたいことを優先する道を選ぶ。
そして、伝えていくうちに、セクシュアリティ関係なく「普通」「××であるべき」という概念に縛られている人があまりに多い現状に気づく。
なかでも、自分が我慢すればうまくいく、と自己評価を高めることができず抱え込む女性の多さが一番ショック。
自分自身も「頑張り屋さん」だった過去を踏まえて「多様性」という言葉を横において、まずは一人ひとりが自分は頑張っている、おめでとう!と自分のことを褒められるようにと「ことばのフラワーシャワーセッション」をスタート。